郵政の民営化によって、外資の参入(売り渡された)、貯金や保険が外資へ流れたことが日本にとって毀損になった…?

郵政民営化により「外資が参入し、日本人の資産(ゆうちょの貯金・かんぽの保険)が外資に流れたのではないか」という懸念には、一理ある側面と誤解が混在しています。
なぜ「外資に売り渡された」という懸念が出たのか?
郵政民営化は、かつて国営で保有していた膨大な資金(ゆうちょ:200兆円超、かんぽ:100兆円超)を民営化により「市場原理に委ねる」方向に進めたものでした。
このプロセスで生じた主な懸念は以下の通りです:
株式上場により、外資が日本郵政・ゆうちょ・かんぽの株式を購入できるようになった
→ つまり「会社そのもの」が一部外資の影響下に置かれる可能性がある。民営化後、ゆうちょやかんぽが外資系の運用商品や金融機関に資金を流すリスク
→ 投資先として米国債などを重視するようになれば、日本国内の資金循環が弱まる恐れ。
現実:外資に「売り渡された」とは言えないが、一定の影響は存在
株式保有について
現在でも日本政府(財務省)は日本郵政の筆頭株主(30%以上)として、一定のコントロールを保持しています。
ゆうちょ銀行やかんぽ生命は日本郵政の子会社であり、間接的に政府の影響下にあります。
外資が株式市場で株を買うのは自由ですが、支配権(過半数)を取れる構造ではない。
資金運用について
ゆうちょ銀行は、資金の多くを国債や米国債、外国証券で運用しています。これは民営化以前から徐々に行われていた傾向ですが、民営化後により市場原理が働きやすくなりました。
外資系の運用会社(ブラックロックなど)に資金の一部が委託されていることも事実。
日本にとって「毀損」だったのか?
■ 否定的側面(懸念)
国内資金の国外流出リスク:ゆうちょ資金が国内中小企業への融資や地域経済に回らず、海外運用に向かう傾向。
米国への過度な配慮?:小泉政権当時、「アメリカの金融業界の要望が背景にあった」とする政治的批判も根強く存在。
→ こうした面から、「日本人の資産を外資に売り渡した」と見る保守派の主張は一定の論理を持っています。(国際金融資本が日本経済の主権を脅かす・・・?)
■ 肯定的側面(メリット)
国営の資金運用に対する市場の規律と透明性が高まった。
民営化により、経営の効率化・コスト削減・競争促進が進んだ(部分的ではあるが)。
政治による非合理な資金運用(財政投融資など)への依存から脱却。
結論:毀損かどうかは「価値観と視点」による
国家主権・経済安全保障重視 ⇒ 一部毀損と見なす(外資や米国の影響が増した)
市場原理・経済効率重視 ⇒ むしろ合理化・正常化と評価(旧体制からの脱却)
今後の課題と方向性
民営化によって「市場の力」は強まったが、地域金融や公共的役割の維持とのバランスが課題。
安全保障や経済主権の観点から、政府による一定の保有・監視体制は今後も必要。
郵便ネットワークなど「非採算でも必要なサービス」への支援体制の再構築。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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