所得Y=生産物価値=消費C+投資I
貯蓄S=所得Y-消費C
したがって
貯蓄S=投資I
Y
┃ I/S
┃C/C
┗━━━━Y
ケインズ一般理論
6:2
…貯蓄額は個々の消費者の集合行動の結果であり投資額は個々の企業者の集合行動の結果であるにもかかわらず、これら二つの額は、いずれも所得の消費に対する超過額と同等であるから、必ず等しくなる。あまつさえこの結論は、先に与えた所得の定義の微妙さや特殊性には少しも左右されない。所得は当期生産物の価値に等しいこと、当期の投資は当期生産物のうち消費されない部分の価値に等しいこと、そして貯蓄は所得の消費に対する超過額に等しいこと、これらはすべて常識にも合致し、大多数の経済学者の伝統的な用語法とも合致している。これらが同意されれば、貯蓄と投資の均等は必然的に導き出される。簡略化すると
所得=生産物価値=消費+投資
貯蓄=所得-消費
したがって
貯蓄=投資
こうして、どのような定義の一組をとってみても、それらが上の諸条件を満たすかぎり、結論は同じになる。それらのどれか一つでも否定されれば、結論は成り立たなくなる。
7:5
…
貯蓄と投資が恒等的に等しくなること、そして個人が彼または他の人々がどれほど投資するかにかかわりなく自分の思うがままの額を貯蓄する明白な「自由意志」を有していること、この二つが矛盾しないのは、本質的には、貯蓄が支出と同様、二面性をもつものだからである。つまり、彼自身の貯蓄額が彼自身の所得に目立って影響を及ぼすとは考えにくいが、彼の消費額は他の人々の所得に影響を及ぼす、だからすべての個人が所定額の貯蓄を同時に行うのは不可能なのである。消費を減らして貯蓄を増やそうといくらがんばってみても、そのような企図は人々の所得に影響を及ぼし、その結果、その企図は必ず挫折せざるをえないだろう。むろん、社会全体として貯蓄を当期の投資額より少なくするのも同様に不可能である。なぜなら、そうした企図は、人々の望む貯蓄の総額が投資額に等しくなるところまで所得を引き上げずにはおかないからである。
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