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現代の政治経済学-マルクスとケインズの総合 単行本 – 2020/2/20
鍋島直樹 (著)
実際の大学講義を元にしたわかりやすい教科書。
ポストケインズ的に画期的だ。
特に#7のカレツキによる有効需要の導出(158頁)、
#10のミンスキーの金融不安定性仮説の説明が優れている(228頁)。
この二つは貴重で、鍋島の過去の論考よりわかりやすい。
残念なのは#5の貨幣の説明だ(100頁)。
商品貨幣論の後に信用貨幣論の説明があるので誤解を生む。
実際の講義で使用する際は、メソポタミアの信用貨幣や中世の額面無しの鋳貨(切り下げ切り上げを国王が行う)の事例を紹介するべきだ。
書名は空回りしている感もあるが、全体的には索引もついていて親切なつくり。
目次
序章 経済学とはどのような学問か
第1章 経済学の基礎概念
第2章 新古典派、ケインズ派、マルクス派の見方
第3章 資本主義的生産の仕組み
第4章 価値と価格
第5章 貨幣と利子
第6章 所得と雇用の決定
第7章 資本の蓄積と再生産
第8章 失業と物価
第9章 所得分配
第10章 景気循環
第11章 資本主義の成長と危機
文献紹介
事項索引
人名索引
向かって動くであろう。 反対に、国民所得がY*よりも大きい場合には生産
物市場において超過供給が存在するので、 生産物の一部が売れ残り、 企業に
とって意図せざる在庫の増加が生じるであろう。この場合には、 企業は生産
を削減しようとするから、 国民所得は減少して、経済は点Eに引き戻される
ことになる。こうして、点Eは安定的な均衡点であることが理解される。
ここで問題となるのは、上のようにして決定された均衡国民所得が完全雇
用国民所得に等しくなるとは限らないということである。 ある時点での均衡
国民所得の水準が完全雇用をもたらすような国民所得の水準に及ばないとき
には、生産物市場においては均衡が実現している一方で、 労働市場では失業
が生じている。 このような失業をともなう均衡、 すなわち不完全雇用均衡が
発生する可能性を理論的に明らかにしたところにケインズの大きな貢献があ
る。
さて、これまでの議論をふまえたうえで、 貯蓄・投資・所得のあいだの関
係についてあらためて考えてみよう。 総需要Dは消費Cと投資 Iから構成
されるので、
D=C+I (6-5)
となる。 また総供給Zは国民所得 Yに等しく、さらに国民所得は消費Cか
貯蓄Sのいずれかに充てられることから、次の式が成立する。
Z=C+S (6-6)
したがって、 総需要と総供給が等しいマクロ経済の均衡のもとでは、
C+I=C+S (6-7)
となるので、両辺からCを引くと、
I=S (6-8)
という関係が導かれる。 先に述べたように、このような投資と貯蓄の均等は
国民所得の変化を通じてもたらされる。 自立的な投資の変化が国民所得の変
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