政治家のおカネの「出入り」がカンタンに分かる…データベースをネットで公開 ホテルや飲食、店名まで詳しく
◆現職国会議員の関連団体など約2360団体が検索可能に
「例えば石破茂首相を入れてみます」。データベースを作成した西田尚史さん(36)が検索画面に「石破」と打ち込むと、画面は首相のページに切り替わり、首相関連の四つの政治団体のデータを一覧できた。
収入総額は「5376万円」。画面を下に動かすと、構成比のグラフでは政治資金パーティー券収入が約50%を占めていることも一目で分かる。
さらに画面を動かしていけば、献金した企業・団体名が金額の上位から順に並ぶ。首相の団体間の資金移動を除くと、日本医師連盟が100万円で最多だった。タクシー関係や水道工事の企業名が続いた。
支出先も一覧で表示できる。宿泊したホテルのほか、食事したうなぎ店やそば店の店舗名、金額まで細かく分かる。
ホームページには現職国会議員の関係団体のほか、自民、立憲民主、公明、日本維新の会、国民民主の5党の政党本部など約2360団体の報告書の内容を収録。2024年11月に公開された2023年の分を独自に開発したシステムで読み取ってデータベース化した。2020~22年分の公開も予定している。
◆なぜか政府は従来データ化しなかった
報告書自体は今もネットで公開されてはいるが「一般の人が調べたいと思っても難しい」と西田さん。ネット公開と言っても、紙の報告書をPDF化しただけなので一覧性はなく、検索は難しい。収支を調べるには一枚ずつ確認が必要だ。
複数の政治団体を持つ議員が多いことも難点で、関係の団体名を調べるだけで一苦労する。報告書の提出先は総務省と各都道府県の選挙管理委員会に分かれ、それぞれのホームページから探さなければならない。
データベース化によってこうした手間が省ける。企業名で検索すれば献金先の議員名と金額を一覧表示することも可能だ。「商品券」「寿司(すし)」など任意のキーワード検索もできる。
◆公開した西田尚史さん「議論の前提を提供できるのでは」
西田さんは経営コンサルタント会社を営みつつ、大学院で政治を学ぶ。過去の研究で収支報告書に触れたこともあり、2020年から独自のデータベース作りに取り組み、2024年には政策シンクタンクも立ち上げた。
データベース公開へ背中を押したのは国会での企業・団体献金を巡る議論だ。「誰がどこからいくらもらっているかが分からないと、是非も評価できない。議論の前提を提供できるのではないか」と思い立った。
2024年末の政治資金規正法改正で、国も2027年からデータベースをつくることが決まった。西田さんは「少なくともこの水準を下回らないものをつくってほしい」と注文する。今後は全ての政党支部を公開し、国のさらに先を行く予定だ。
政治資金を長年チェックする神戸学院大の上脇博之教授は「報告書を調べる手間が大幅に短縮される。一般の人にも報告書が身近になれば、政治家もおかしな金の使い方ができなくなる」と取り組みを評価する。
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