2021年11月1日に日本でレビュー済み
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ユダヤ人が20世紀にナチスなどによって迫害され、虐殺されたことはあまりにも有名な史実であり、忘れることができない。ユダヤ人はドイツで迫害されただけではなく、ヨーロッパの各地で差別され、ゲットーに押し込められ、商人としての成功ゆえに嫉妬の対象となった。ドイツでは資本主義の起源論争においてウェーバーがユダヤ起源を否定し、ゾンバルトが肯定したことから始まって、論争が世界に広がり、日本では大塚史学と宇野理論の対立にも影響を与えた。こうしたことは今ではもはや語られることも少なくなり、大学ではウォラ―シュテインの世界資本主義論などが講じられることが多いようだ。原書は2010年にプリンストン大学出版局から出たもので、2012年に邦訳出版され、私はその時に入手していたが、このほど精読した。ユダヤ人がナショナリズムの犠牲になった個々の史実を読むと、まさにユダヤ人の成功が悲劇を招いたと言えるだろう。イスラエルとパレスティナはアラブ世界にあって今なお和解できないでいるが、80億人の地球が生態的に危機に向かっているときに、この対立は残念でならない。
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