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ケインズの雑誌論文を読む⒀ 2015年3月―金本位制離脱後の英国および世界の経済:現実と展望(1931年~33年)松 川 周 二は じ め に 大戦後の世界経済の再建にとって,自由貿易体制とともに必須の条件とされた主要国の金本位制復帰についてケインズは,ジェノア会議(1922年)に向けて,主要国に対して早期の金地金本位制による復帰を求めるが,デフレーションを強いられるよう通貨価値の引き上げには反対し,現実的な金平価の採用を推奨する。デフレーション政策は有害なだけでなく(とくに英国では)非現実であり,何よりも無理のない金平価での為替の安定化は,各国の生産活動や国際貿易さらには国際間の信用供与や資本移動を促進するとともに,財政に規律を課し財政赤字の拡大を抑えることにも寄与するからである。1923年12月,『貨幣改革論』を上梓したケインズは,大戦後の激しい物価変動の経験をふまえ,物価水準(貨幣の対内価値)の安定化のための具体的な政策提言(いわゆる「貨幣改革」)を行ったが,一方,英国の金本位制復帰については,自らの見解を「時期尚早論」に転換し,「当分の間,自由裁量の余地が多い管理通貨制によってポンド為替を安定化させるべきである」と説いた。ところが1924年に入ると,一部に慎重論があったものの,復帰への期待が各界で高まり,それを受けてイングランド銀行は,為替市場への圧力の軽減を目的に,24年6月から25年11月まで,外国証券の新規発行を停止させる(具体的には法律によらず自粛を求める強力な説得である)。そして25年5月,ついに旧平価での金本位制復帰に踏み切る。
ケインズは,直ちに小冊子『チャーチル氏の経済的帰結』を出版し,旧平価復帰はデフレーションを強いる事実上の平価切り上げであると厳しく批判したが,事実,石炭産業・鉄鋼業・綿業などの主要な輸出産業は,ポンド高不況に追い込まれる。とりわけ厳しい状況に陥った石炭産業では,賃金引き下げを巡って労使が激しく対立してストライキとなり,さらにそれは全国規模のゼネスト(1926年)へと拡大したため,英国経済は大きな打撃を受ける。一方,旧平価復帰を支持した多くの論者は,このポンド高不況をてこに,英国産業の高コスト(主に貨幣賃金)構造を是正し,輸出貿易の復活を企図したのである。
しかしその後,英国経済はケインズが危惧したように,後にいう開放マクロ経済のトリレンマに陥るが,それは①固定為替レートの維持,②国際間の自由な資本移動,③国内均衡のための裁量的な経済政策の3つを同時に実現することはできないということである。すなわち,20年代
2025年2月18日火曜日
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Isabella M. WeberさんによるXでのポスト ガルブレイス
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