夏目漱石 夢十夜

夏目漱石 夢十夜 #8  やがて、白い男は自分の横へ廻って、耳の所を 刈 か り始めた。毛が前の方へ飛ばなくなったから、安心して眼を開けた。 粟餅 あわもち や、餅やあ、餅や、と云う声がすぐ、そこでする。小さい 杵 きね をわざと 臼 うす へあてて、 拍子 ひょうし を取って餅...