徳川幕府の経済政策──その光と影 著 者:岡田晃
積極財政・金融緩和 vs. 緊縮財政・金融引き締め
第三は、政策のあり方をめぐる二つの考え方をどう判断するかという点だ。江戸時代中期以降の政策の変遷を振り返ると、こうなる。
荻原重秀(積極財政・金融緩和)→新井白石(緊縮財政・金融引き締め)→徳川吉宗(緊縮・金融引き締め、後に金融緩和)→田沼意次(金融緩和継続、成長重視)→松平定信(緊縮財政・金融引き締め)→水野忠成(積極財政・金融緩和)→水野忠邦(緊縮財政・統制強化)……。
田沼時代を除いて、積極財政・金融緩和と緊縮財政・金融引き締めがほぼ交互に実行されていた。そして積極・緩和はインフレ、緊縮・引き締めはデフレを招いたことも見てきたとおりである。ただし荻原重秀や水野忠成のインフレという点については、過大に言われてきたきらいがあることに注意が必要だ。この点はあらためて強調しておきたい。
徳川幕府の経済政策──その光と影 著 者:岡田晃より
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