GDP発表で見える「本当の問題点」 内需の低調と政府・日銀の動向 金融と財政の「ダブル引き締め」を騒いだ方がいい
5月に発表予定の24年1~3月期のGDPは大手自動車メーカーの減産や、外需部門での特殊要因の剥落などにより、マイナス成長が予想される。仮に23年10~12月期のGDPが改定値でもマイナス成長のままであった場合、3四半期連続でマイナス成長というシナリオが既にみえつつある。
それにもかかわらず、日銀はマイナス金利の解除をにおわせ、政府は少子化対策や防衛強化の財源としてさらなる負担増を掲げている。この状況下で金融と財政の「ダブル引き締め」を行おうとしていることを騒いだ方がいいだろう。
また、GDPの世界ランキングがドイツに抜かれて4位に転落したと騒ぐよりも、そもそも日本だけがこの30年間ろくに経済成長できなかったこと自体に関心を向けるべきではないのだろうか。このまま停滞を続けていれば、毎年のように順位が下がったと騒ぐことになり、もはやそれが風物詩になりかねない。
23年は30年ぶりの賃上げ水準が実現され、外的要因とはいえ物価が上昇したことで人々の物価に対する考え方にも変化が生じた。今年も大幅な賃上げがなされれば、いよいよデフレ経済からの脱却も見えてくるだけに、政府と日銀の動きは非常に重要となる。
■森永康平(もりなが・こうへい) 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。
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