トランプ米政権下で広がるスタグフレーションの恐れ、各種報道
米国トランプ政権の政策が経済的不確実性を増大させることが懸念されているが(2025年3月10日記事参照)、さらに追加関税が実施されることで、景気後退とインフレが同時進行するスタグフレーションの恐れが広がりつつある、と各種メディアが報じた。
NBCニュースは3月12日、関税、減税、支出削減といったトランプ氏の異例かつ前例のない経済政策は、経済を再活性化させるどころか、景気後退だけでなくスタグフレーションの恐怖も呼び起こしている、と報じた。
「ニューヨーク・タイムズ」紙(3月7日)は、米国の2025年第1四半期のGDPが縮小する可能性を予測する専門家もいるとしている。さらに一部の評論家は、不況、急激なインフレ、あるいはその2つが組み合わさり、スタグフレーションに向かう可能性を主張するという。米国シンクタンク、ルーズベルト研究所の経済学者マイケル・マドウィッツ氏は、景気後退に至らないとしても、貿易障壁(関税)が緩やかな成長の足かせになり、慢性的に不健康な経済状況を例えて、「経済が1日1箱たばこを吸い始めたようなものだ」と述べた。
金融サービス企業のモーニングスター(3月7日)は、PNCフィナンシャル・サービス・グループのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏の「スタグフレーションになることはまれだ」というコメントを紹介した。一方で、アーンスト・アンド・ヤングのチーフエコノミスト、グレッグ・ダコ氏のコメントで、「(トランプ政権が)関税を最大限まで実施すれば、スタグフレーションを促進する材料がそろうことになる」との警戒感も示した。
金融メディアのインベストペディア(3月6日)は、「成長鈍化の中での(トランプ氏の)関税が誘発するインフレは、経済を危険なほどスタグフレーションに近づける可能性がある」とするLPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏のコメントを紹介した。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「関税政策と移民政策という政策の結果、インフレが上昇し、経済成長が鈍化している」状況から、方向性としてスタグフレーションを示すと述べた(CNBC3月4日)。
(松岡智恵子)
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